熟知じゅくち)” の例文
嗚呼ああ、先生は我国の聖人せいじんなり。その碩徳せきとく偉業いぎょう、宇宙に炳琅へいろうとして内外幾多の新聞みな口をきわめて讃称さんしょうし、天下の人の熟知じゅくちするところ、予が喋々ちょうちょうを要せず。
それは、秀吉が、戦場における家康を見て、初めて、モチにも網にもかからない男だと知ったのでなく、戦わざるうちから、家康の何者なるかを、熟知じゅくちしていたためだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俊寛 (せき込む)しかし清盛きよもり殿の意志が三人をみやこへ呼びもどすにあるとしたら。主人の意志を果たすがほんとうの忠実なる使者でしょう。あなたは主人の意志を熟知じゅくちしていられましょう。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
信長には、近代人的な知識もあるとともに、信念のみでは押しきれない難しい政治面の苦衷くちゅうも充分味わっているので、光秀の才分は、よく彼をめる秀吉以上熟知じゅくちしているはずだった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)