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熊笹
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くまささ
恐らくは
万古不融の雪にして
混々として利根水量を
多からしむるの大原因たるべし、当夜の
寒気想ふに堪へたり、宿所を
取らんとするも長一丈余の
熊笹繁密せるを以て
田崎と車夫喜助が
鋤鍬で、雪をかき
除けて見ると、
去年中あれほど捜索しても分らなかった狐の穴は、冬も茂る
熊笹の
蔭にありあり見えすいて居る。いよいよ狐退治の
評議が開かれる。
然りと雖も
前途嶮益嶮にして、人跡
猶未到の
地、
果して予定に
違はざるなきや、之を
思へば一喜一憂
交々到る、万艱を
排して
前進し野猪の
勇を之れ
貴ぶのみと、一行又
熊笹の
叢中に頭を
没して