けふり)” の例文
蝋燭のほのほと炭火の熱と多人数たにんず熱蒸いきれと混じたる一種の温気うんきほとんど凝りて動かざる一間の内を、たばこけふり燈火ともしびの油煙とはたがひもつれて渦巻きつつ立迷へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さしも息苦き温気うんきも、むせばさるるけふりの渦も、皆狂して知らざる如く、むしろ喜びてののしわめく声、笑頽わらひくづるる声、捩合ねぢあひ、踏破ふみしだひしめき、一斉に揚ぐる響動どよみなど
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
貫一はう事無しにけふりを吹きつつ、この赤樫あかがしの客間を夜目ながらみまはしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)