無細工ぶさいく)” の例文
鞭うたれた局部だけはまだらに黒くなった。並んで見える浅井の靴は、兵隊靴のごとく重くかつ無細工ぶさいくである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其方そちらで木戸を丈夫に造り、開閉あけたてを厳重にするという条件であったが、植木屋は其処そこらのやぶから青竹を切って来て、これに杉の葉など交ぜ加えて無細工ぶさいくの木戸を造くって了った。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
わたくしはまた紙でつくった花環はなわに銀紙の糸を下げたり、張子はりこの鳩をとまらせたりしているのを見るごとに、わたくしは死んでもあんな無細工ぶさいくなものは欲しくないと思っている。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あの寒中にそんな水仕事をするんだから、手足も無細工ぶさいくで、れ放題に荒れている。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
きたない鳥だし尻尾しっぽなどはたしかに無細工ぶさいくだが、言葉だけはたしかに進んでいる。
何や急に自分の体無細工ぶさいくに思われて来て、……「姉ちゃんかって綺麗やないかいな、あてとちっとも変れへんもん」いわれますと、しまいにはそれをに受けて何とも思わんようになりましたけど
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)