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温石
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おんじゃく
ふりがな文庫
“
温石
(
おんじゃく
)” の例文
建礼門院は、主上の御
入水
(
じゅすい
)
を見届けると、今はこれまでと覚悟して、
硯
(
すずり
)
と
温石
(
おんじゃく
)
を左右の懐に入れると、そのまま海に身を躍らせた。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
急に
袷
(
あわせ
)
が欲しいほどに涼しくなって、
疝気
(
せんき
)
もちの用人はもう
温石
(
おんじゃく
)
を買いにやったなどといって、蔭で若侍たちに笑われていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「しかるにお町坊は、家を助けるという口実のもとに、その伊勢屋の隠居のもとへ
温石
(
おんじゃく
)
がわりの奉公に出ようというのだな」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「旦那様、
酷
(
ひど
)
くお
腹
(
なか
)
が痛みますなら、冷えると余計悪くなりますので、河原の石でも焼いて、間に合せの
温石
(
おんじゃく
)
でもお当てなさいますか」と親切は
面
(
おもて
)
に現われた。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「
漸
(
ようや
)
く落着いてこの通り、——
温石
(
おんじゃく
)
を三つ下の腹へ当てていますよ、こいつは楽じゃありませんぜ」
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
粮
(
かて
)
と
温石
(
おんじゃく
)
と凍餓共に救う、万全の策だったのである、けれども、いやしくも文学者たるべきものの、
紅玉
(
ルビー
)
、
緑宝玉
(
エメラルド
)
、宝玉を秘め置くべき胸から、黄色に焦げた
香
(
におい
)
を放って
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝早く
出掛
(
でかけ
)
間際
(
まぎわ
)
に腹痛み
出
(
いづ
)
ることも
度々
(
たびたび
)
にて、それ懐中の
湯婆子
(
ゆたんぽ
)
よ
懐炉
(
かいろ
)
よ
温石
(
おんじゃく
)
よと立騒ぐほどに、大久保より
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
までの
遠道
(
とおみち
)
とかくに出勤の時間おくれがちとはなるなり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
また時々塩を貰って
温石
(
おんじゃく
)
を当てる、それは実に親切なもので。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
草庵
(
そうあん
)
に
温石
(
おんじゃく
)
の暖
唯
(
ただ
)
一つ
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
これは正月のことで寒いから、老人だけに袖の中に
温石
(
おんじゃく
)
を持って、手を温めているのである。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それがどうしても堪えられなくなって、昼から
温石
(
おんじゃく
)
などで
凌
(
しの
)
いでいたが、日が暮れると夜の寒さが腹に沁み透って来た。かれは
痙攣
(
さしこみ
)
の来る下腹をかかえて炉のそばに唸っていた。
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“温石”の意味
《名詞》
あらかじめ温めておいて、布などにくるみ、暖を取るために懐中に入れておく石。
(出典:Wiktionary)
“温石”の解説
温石(おんじゃく)とは、平安時代末頃から江戸時代にかけて、石を温めて真綿や布などでくるみ懐中に入れて胸や腹などの暖を取るために用いた道具。
(出典:Wikipedia)
温
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
“温”で始まる語句
温
温和
温泉
温順
温柔
温気
温暖
温味
温泉宿
温泉場