“沫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しぶき46.9%
あわ34.4%
しぶ3.1%
3.1%
ばい3.1%
ばつ3.1%
まつ3.1%
ナワ3.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すらりと背後うしろ向かるゝ黒髪のたけ、帆柱ほばしらより長くなびくと思ふと、袴のもすそが波をつて、月の前を、さら/\と、かけ波のしぶきの玉を散らしながら
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さては己より前に蟹がそこへ来てはや穴を掘って住んでいやがるかと不審してそこへ下りて耳を穴に当て聴いて見るとブツブツと蟹のあわ吹く音がする
午後二時の太陽が海面にしぶきを散らす金色の燦めきに、晴れやかな沈黙の笑を投げ乍ら、真弓は砂丘を下りて行つた。
水と砂 (新字旧仮名) / 神西清(著)
角から二軒目の店の二階にはぼんやり灯影が窓からさしていて、やっぱり世間の生活のとばっちりが橋の上にもねついているのを感じる。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
やねおほいにし、其家にしとみし、よさゝうにすれば、日中に斗だのばいだのといふ星を見て、大なる光は遮られ、小さなる光はあらはれ、然るべき人は世にかくれ、つまらぬ者は時めき、そして
震は亨る (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
カツテ東京ニ相識あいしル。すなわちイテコレヲ見ル。髩髪蕭疎びんぱつしょうそ顔色憔悴しょうすいセリ。シカモコレト当世ノ務ヲ談ズルヤ議論横ザマニ生ジ口角ばつはっシソノ気力ごうモ前日ニ減ゼズ。五更ノ頭ニ到リ辞シテ去ル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
暁闇濠ぎょうあんぼりの水面に見たのは、まさしくそうした途端であって、本丸の望楼に身伸びをして見つめていた吉宗と万太郎のひとみには、もうその影が二つとも、一まつの白いものとなって消えていました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真淵は「みナワの如く浮ぶまさごといひて、我イキもやらず死もはてず、浮きてたゞよふこゝろをたとへたり」(考)といっている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)