とこしな)” の例文
いつも痒いところに手が届きけり。されば八重去つてよりわれまた肴饌こうせんのことを云々うんぬんせず。机上の花瓶かへいとこしなへにまた花なし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
救いはくまなく渡るであろうか。衆生の済度さいどはどうして果されるであろうか。もし知を有たずば神を信じ得ないなら、多くの衆生はとこしなえの迷路に彷徨さまようであろう。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
否、真に工藝品に愛を覚えないなら、真理はとこしなえにその人に向って封じられるであろう。愛こそ真理の扉を開く鍵だからである。愛は知よりも多くを知るからである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
さながら今の陶工が描きたいとねがう絵であると誰も云うであろう。正しき美には過去と現在とがないのである。とこしなえな今のみが残る。過ぎ去る今はない。美は時代を超える。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)