はづ)” の例文
ビスマルクが或時仲善なかよしの友達と連立つて猟に出た事があつた。すると、うしたはづみか友達は足を踏み滑らして沼地ぬまぢはまつた。
左へ躱した自動車は、躱し方が余りに急であつた為、はづみを打つてそのまゝ、左手の岩崖を墜落しさうな勢ひを示した。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
さう云つて、捕へられてゐた腕を、スラリと抜くと、澤田はそのはづみで、一間ばかりひよろひよろと下へ滑つて行つたが、其処で一寸踏み止まると
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「見ろ。どの木の花もが笑ひかからうとして、ただはづみを待つてゐるやうぢや。——急いで羯皷かつこを持つてまゐれ。」
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
彼女は、その人の催した園遊会で、妙なはづみから、激しい言葉を交して以来、その男の顔付や容子が、悪夢の名残りのやうに、彼女の頭から離れなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
皆が有頂天になつて騒ぎ立つてゐる一刹那、どうしたはづみか氷はばり/\と音を立てて割れた。そして四人が四人とも、その割れ目にち込んで死んでしまつた。
詩人よりは幾らか辛抱強かつたと見えて、そんななかに平気で書き物をしてゐたが、どうしたはづみか甥の投げた毬が、間違つて王のよりかかつてゐる卓子テーブルの上に落ちて来た。
「なに、豆腐だつて。」根岸氏は膝を乗出すはづみに椅子から滑り落ちさうにした。
はづみをつて閾越しきゐごしに庭に転げ込んで来るので、直ぐ手捕てどりにする事が出来る。