楷梯かいてい)” の例文
しかし吾が顔に印せられる痘痕とうこんめいくらいは公平に読み得る男である。顔の醜いのを自認するのは心のいやしきを会得えとくする楷梯かいていにもなろう。たのもしい男だ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
えうするにかれぐらゐ年輩ねんぱい青年せいねんが、一人前いちにんまへ人間にんげんになる楷梯かいていとして、をさむべきことつとむべきことには、内部ないぶ動搖どうえうやら、外部ぐわいぶ束縛そくばくやらで、一切いつさいかなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)