)” の例文
げんさんは会社かいしゃにつとめて、ごくほがらかな性質せいしつでありましたが、さんはそれにくらべて口数くちかずすくない、うちきなところがありました。
クラリネットを吹く男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
番兵がしらと張は、知らぬ顔して、見のがしてくれた。——王進は、深夜の底を走って、西華門へかかった。ここにも彼の弟子がいる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵の捕虜ほりょが、匈奴軍の強いのは、漢からくだった将軍が常々兵を練り軍略を授けてもって漢軍に備えさせているからだと言ったというのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ラインといっても、いろいろだ。マッカーサー・ライン、ライン、赤線に青線……市には市警の面子メンツというものがある。こんなところで、大きな顔でショバを
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「私、という家の女ですの、あなたの高雅な人格をお慕いしております、どうか忘れないでね」
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
とうには道教が盛であった。それは道士等どうしらが王室の姓であるのを奇貨として、老子を先祖だと言いし、老君に仕うること宗廟そうびょうに仕うるがごとくならしめたためである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大司馬たいしばの役を勤める氏の邸に入り、台所のかまどの下へ行って消えたように思われたので、鄂はふたたび矢をつがえようとするところへ、邸内の者もおどろいて駈け付けた。
伊万里の藍絵磁器は、もとより明清みんしんまたは朝の青華せいかを師としたものであるが、真に原品に比敵し得るものは、古伊万里の他には、ただこれらの見棄てられた雑器のみである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
支那では姓の者は到る処に李家屯を作り、ちん姓の者は必ず陳家荘を立て、その姓を変じないのに反して、日本では新住者はもとの氏をしまっておき、他人からは現在の居所の地名をもって呼ばせている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すると賑やかな演劇囃子しばいばやしが耳の穴へ流れこんできた。ははあ、いつぞや小二が噂していた掛小屋だな。木戸の呼び声、旗幟はたのぼりのはためき。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛寵あいちょう比なき夫人の兄たる弐師じし将軍にしてからが兵力不足のためいったん、大宛だいえんから引揚げようとして帝の逆鱗げきりんにふれ、玉門関ぎょくもんかんをとじられてしまった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
さんが、やすみのには、げんさんがかけなければならなかった。二人ふたりが、クラリネットをって、そとへいくようなは、ついにこなかったのでした。
クラリネットを吹く男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
味気ない炉に、しきりと、小二の店が恋しくなる。だが街は遠すぎるし……と、ふと壁を見ると、風流な恰好をした酒瓢箪さけびょうたんがかかっている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さんは、クラリネットが、うまいそうだが、ひとつきかせておくれよ。」と、げんさんがいいました。
クラリネットを吹く男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
現に半年前の軍にも、単于に従って、(問題の公孫敖こうそんごうの軍とではないが)漢軍と戦っている。これだと李陵りりょうは思った。同じ将軍で、李緒りしょとまちがえられたに違いないのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)