散乱ちりみだ)” の例文
旧字:散亂
ひかりやゝよわく、きぬのひた/\とところに、うすかげ繊細かほそくさして、散乱ちりみだれたさくらはなの、くびにかゝつたまゝ、美女たをやめは、ひたひてゝ、双六盤すごろくばん差俯向さしうつむいて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
目の前に散乱ちりみだれたるふみをあげて、「やよ殿、今ぞ別れまいらするなり」とて、目元に宿れる露もなく、思ひ切りたる決心の色もなく、微笑のおもてに手もふるへで、一通いつゝう二通につう八九通はつくつう
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ときは、つめひとゆびさきも、人目ひとめにはれないで、水底すゐていねむつたやうに、面影おもかげばかり澄切すみきつてたのに、——こゝでは、散乱ちりみだれた、三ひら、五ひらのはなが、すごうご汽車きしやそこ
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二人は此処ここでもあとになり先になり、脚絆きゃはんの足を入れ違いに、かしらを組んで白波しらなみかつぐばかり浪打際なみうちぎわ歩行あるいたが、やがてその大きい方は、五、六尺なぎさはなれて、日影の如く散乱ちりみだれた、かじめの中へ
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)