放擲うっちゃらか)” の例文
大塚さんは彼女を放擲うっちゃらかしてかまわずに置いた日のことを考えた。あらゆる夫婦らしい親密したしみ快楽たのしみも行って了ったことを考えた。
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼女と別れる前の年あたりには、大塚さんは何でも彼女の思う通りに任せて、万事家のことは放擲うっちゃらかして了った。
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
よしんばおせんは、彼女が自分で弁解したように、罪の無いものにもせよ——冷やかに放擲うっちゃらかして置くような夫よりは、意気地は無くとも親切な若者をよろこんだであろう。
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
放擲うっちゃらかして置いた家の中はシンカンとしていた。裏に住む女教師なども病院の方の様子を聞きに来た。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そんなことは放擲うっちゃらかして置いたら可いでしょう。そうホジクらないで……私に言わせると、何故なぜそんなに遊ぶと責めるよりか、何故もっと儲けないと責めた方が可い」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お雪はそれを三吉に見せて、こういう手紙には迷惑すると言った。三吉は好奇心をもって読でみた。放擲うっちゃらかして置いた。どうかするとお雪は不思議な沈黙の状態ありさまに陥ることも有った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
正太が放擲うっちゃらかして置いて行った諸方ほうぼうの遊び場所からは、あそこの茶屋の女中、ここの待合の内儀おかみ、と言って、しばしば豊世を苦めに来た。彼女はそういう借金の言訳ばかりにも、疲れた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)