掻潜かいくゞ)” の例文
旧字:掻潛
振り返つたガラツ八の袖の下を掻潜かいくゞり樣、ト、ト、トと前へ、物に驚いた美しい鳥のやうに驅け拔けたのは、紛れもなく若い女です。
と手を放しますると、又々腰に差したる木刀ようの物を持って文治に打ってかゝる。その小手下こてした掻潜かいくゞって又も其の手をしかと押え
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「えゝ、こんな奴を相手に手間取るは無益だ」と一人の罪人ははげしく打合う其の中を掻潜かいくゞって通り抜けようと致しますから、文治は飛退とびのきながら、その一人を引留め
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はっと思って二人ににん退さがる途端に身をかわしてくうを打たせ、素早く掻潜かいくゞって一人いちにんの利腕を捩上げ、一人ひとりが、「小癪なことをやがる」と横合よこあいより打込み来る其の
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
穏坊をんばう畜生ちくしやう此方こつち這入はいつやアがるときかねえぞ、無闇むやみ這入へいりやアがるとオンボウいて押付おつつけるぞ。と悪体あくたいをつきながら穏坊をんばうそでした掻潜かいくゞつてスーツと駈出かけだしてきました。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)