打湿うちしめ)” の例文
旧字:打濕
なんとなく心配しんぱいそうなかおで、左様々々さようさよう左様さよう、と、打湿うちしめってってるかとおもうと、やれヴォッカをせの、麦酒ビールめろのとすすめはじめる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
書斎に掛けたる半身の画像こそその病根なるべきを知れる貴婦人は、にはか空目遣そらめづかひして物の思はしげに、例の底寂そこさびし打湿うちしめりて見えぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いい掛けつつ打湿うちしめりて
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さも無かりし人の顔の色のにはかに光を失ひたるやうにて、振舞ふるまひなどけて力無く、笑ふさへいと打湿うちしめりたるを。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのはだの色の男に似気無にげなく白きも、その骨纖ほねほそに肉のせたるも、又はその挙動ふるまひ打湿うちしめりたるも、その人をおそるる気色けしきなるも、すべおのづか尋常ただならざるは、察するに精神病者のたぐひなるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)