所行しわざ)” の例文
一つの鐘に二つまで瑕の由来を作った売僧輩まいすはい所行しわざ微笑の至りだが、欧州の耶蘇ヤソ寺にも、愚昧な善男女をて込んで、何とも沙汰の限りな聖蹟霊宝を、捏造ねつぞう保在した事無数だ。
かくして一には浪子を武男の念頭より絶ち、一には川島家のまつりを存し、一にはまた心の奥の奥において、さきに武男に対せる所行しわざのやや暴に過ぎたりしその罪? ほろぼしをなさんと思えるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
知れし者と見ゆ殺害致したる上全く金子きんす出來心できごころにてぬすみ取し者ならん然れば豫々意趣いしゆ有者の所行しわざと思ふなり然樣さやうなる心當りも有ば包まず申立よと有に平吉はおそる/\かしらあげ親共儀は平生へいぜい慈悲じひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聞て富右衞門やゝ何々なに/\平兵衞殿がと大におどろき夫は大變たいへんな事て殺したやつは知しかと問ばお峰風聞うはさには大方盜賊どろぼう所行しわざならんとの事夫れに付ては若旦那は朔日ついたちより江戸の御郡代ぐんだい屋敷へ御いでなさいまだに御歸りなさらぬが相手が早くしれればよいと云に富右衞門何さ天命てんめいなれば今にぢきしれるであらまづわらぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れ憑司にむかはれ其方が段々願ひのおもむ確固たしかなる證據しようこもなし然らば急度きつと傳吉が所行しわざとも相分らず麁忽そこつの訴へに及びしは不屆に思はる人命おもしとする所只々着類ばかり似たりとて兩人の子供こどもなりと申すと言ども世には染色そめいろ模樣もやうなど同樣なる着類せし者往々あることなり但し死體したい實固じつこなる目當ありしやと云るゝに憑司は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)