所為まね)” の例文
旧字:所爲
五体満足な男一匹が女や腰抜の所為まねをして筆屋の御奉公をして腐れ死をして了つては国家に対する義務が済むまい。なッ亀井。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
下司げす所為まねは決してなかった。何処どこの家の物でなければ喰えないなどと贅をいっていた代りには通人を気取ると同時に紳士を任じていた。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
不味い下宿屋の飯を喰っていても牛肉屋のなべつッつくようなさもしい所為まねは紳士の体面上すまじきもののような顔をしていた。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
自由気儘きままにグングン訳し、「昔のようなくそ正直な所為まねはしない、まずい処はドンドン直してやる」と、しばしば豪語していた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
細つこい瘠せ身代でゐながら些と海軍力のあるのを鼻に掛けて東洋の猟場にチヨツかいを出し中原ちうげん大豚おほぶた分配わけまへを取らうと小癪な所為まねをする所は
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
銭が儲かるの儲からんのと政治家や文学者を気取る先生方が俗な事をおつしやる。銭が儲けたいなら僕の所為まねをし給へ。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
興に乗じた気焔きえん飛沫とばしりえらそうな事をいっても、根が細心周密な神経質の二葉亭には勝手に原文を抜かしたり変えたりするような不誠実な所為まねは決して出来ないので
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
が、不平で学校を飛出しながら校長の恩にすがるような所為まね餓死うえじにしても二葉亭には出来なかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
きさまも懸賞小説なんぞとけち所為まねをするない。三文小説家になつて奈何どうする気ぢや。」
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「こらこら、そんな所為まねをする」と二葉亭はやさしく制しながらも平気で舐めさしていた。時に由ると、嬉しくて堪らぬようにあとから泥足どろあしのまま座敷まで追掛けて来てジャレ付いた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
実業家といふと聞えが好いが近頃の奴は羽織ゴロの方に近い。立派な新教育を受けた若い連中てあひまでが斯様こんな怪しからない所為まねをしたがるから困る。例へば商業学校、あれが少しも役に立ちませんナ。
青年実業家 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)