戯談ぜうだん)” の例文
旧字:戲談
「いえ、戯談ぜうだんなぞ申しません。鶏小舎とりこやの古いのを買ひまして、それにすまつてゐるのです。夏分なつぶんになりますと、羽虫はむしに困らされます。」
ろよ、近頃ちかごろ薩張さつぱりてくんねえが、れことにでもつたんぢやねえかなんてつから」とみせ女房にようばう戯談ぜうだんまじへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「なに、大杉が百円。戯談ぜうだん言つちやいけない、あの男はまだ生きてるよ、香奠かうでんでなくつて一時にそんな金が大杉の手に入るわけがない。」
何處どこらかあるいてたとえてあしほこりだらけだと」二三にんこゑ戯談ぜうだんかへした。いへ内外うちそとのむつとした空氣くうきます/\ざわついた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
誰かが戯談ぜうだん半分にそばからわめいたものだ。すると、酔つたまぎれの久米氏はいきなり栂指おやゆびをもつて蜜柑をむりやりに口の中に押し込んでしまつた。
「たつた一本の葉巻シガアだつて。戯談ぜうだん言つちやいけない、戦争が始まつてから今日までもう幾年になると思つてるのだい。」
といひながら、手に載せた蟇蛙を地べたに下さうとしたが、急に声を落とし、人間に立聞きされるのを気遣ふやうに、そつとその怪我人に戯談ぜうだんをいつた。
名高い京都の陶工青木木米もくべいは、自分の職業柄日本はいふに及ばず、支那南蛮の物まで、良土といはれる土は大抵集めてゐたさうだが、いつも戯談ぜうだんまじりに
エデイソンは発明も好きだが、発明の次ぎには戯談ぜうだんも好きだつた。今自分の実験室に入つて来た女の、高慢ちきな顔を見ると、いつもの癖がむつくり頭を持ち上げて来た。
戯談ぜうだん言つちやいけない。皆は貴方のお説教を聞かうと思つてるのだ。私のやうな老人としよりが……」
「え、不入だつて、今度の芝居が。」女房かみさんは咎め立てをするやうに怖い目つきをした。「戯談ぜうだんもいい加減にしてお置きよ、今日は初日だつてえのに、縁起でもない。」
旧文芸協会当時、東儀氏が例の明けつ放しの気質かたぎから、ちよい/\松井須磨子に心安立こゝろやすだて戯談ぜうだんでもいふと、そばで見てゐる島村抱月氏は気が気でなく、幾らか誤解はきちがへも手伝つて
などと戯談ぜうだんを言ひ言ひ、また打ち始めたが、かね/″\お賽銭さいせんを貰つてゐる氏神様のお力で、河合は手もなく松平を負かして、名高い「古松研」は到頭河合の手に渡つて了つた。
古松研 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
大杉氏は戯談ぜうだんらしく言つて、爺さんの顔を見た。爺さんは丁寧に禿頭を下げて引取つた。
などと戯談ぜうだんを言ひ言ひ、また打ち始めたが、かね/″\お賽銭さいせんを貰つてゐる氏神様のお力で、河合は手もなく松平を負かして、名高い「古松研」は到頭河合の手に渡つて了つた。
ほんとにさうだと東儀氏は感心をして、又と戯談ぜうだんを言はなくなつた。
「なに、二十円で済んだ? 戯談ぜうだんぢやない。」