御意みこころ)” の例文
なるほど、お前は妖術の力で魂を呼び出して彼女あのひとを苦しめるけれど、神様だけが彼女あのひと御意みこころのままになし給ふことが出来るのです。
牧師もまた夜眠ることが出來ず、そしてもう神の御意みこころが分らなくなつでしまつてゐるからだつた。すると鐘がそれを更らに繰り返すのだつた。
自分の求めるのは「御意みこころのままに」という言葉を全心の確信によって発言し得る心境である。「知られざるある者」が「知られたる者」に化することである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「たとへ幾千歳を経ようずるとも、それがしは初一念を貫かうずと決定けつぢやう致いた。さればまづ御主『えす・きりしと』の御意みこころに叶ふべい仕業の段々を教へられい。」
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なおまたこの身にして彼のために要せらるるならば何時いつなりともなんじ御意みこころまかせ彼のために使用し賜え、この身は爾のものにして爾のために彼に与えしものなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
願わくば御名のあがめられんことを。御国の来らんことを。御意みこころの天のごとく地にも行われんことを。
反逆 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
かくて周囲に坐する人々を見まわして「よ、これはわが母、わが兄弟なり。誰にても神の御意みこころを行なうものは、これわが兄弟、わが姉妹、わが母なり」と言われた(三の三一—三五)。
眼にものが見えぬほど異様に意気込んで撮影所の正門まで行ったが、これは、深刻な苦笑に終った。日曜であった! なんという迂闊うかつな子だろう。何事も、神の御意みこころだったのかも知れない。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
自分の「あのもの」は、「アバ父よ、父には能はぬことなし」というごとき言葉に、「御意みこころのままをなし給へ」という言葉に、はるかに似つかわしい表現を得る。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
もし御意みこころならば我をして再びわがおっとの家に帰らしめよ、もちろん我は爾を捨ててわが夫に帰る能わざるなり、これ爾に対して罪なるのみならずわが夫に対して不貞なればなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
御意みこころの天のごとく、地にも行われん事を。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この新しい会堂で最初のミサを聞いたとき、ダリヨは床の上に伏して歓びの涙を流し、地上の望みはもう達せられた、御意みこころのままに、何時にても御許みもとに召し給え、と云ったという。
鎖国:日本の悲劇 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
もしそのために祈りし時は必ず「もし御意みこころかなわば」の語を付せり、自己の願事ねぎごとを聴かば信じ、きかずば恨むはこれ偶像にねがいを掛けるもののなす所にして、基督信者の為すべき事にあらざるなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ただ、「御意みこころのままになしたまえ。」
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)