ちょう)” の例文
旧字:
知事は“早暁に行われた美人ごろしの事件”と聞いて、さっそく官舎からちょうへのぼり、閻婆と唐牛児を白洲しらすにすえて、吟味ぎんみをひらいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時張廷栄ちょうていえいという、県尹けんいんが新たに任について、ちょうのぼったところで、一疋の猴が丹※たんちの下へ来て、ひざまずいてさけんだ。張廷栄は不思議に思って、隷官れいかんに命じて猴の後をつけさした。
義猴記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「本日は東北長官とうほくちょうかん一行の出遊しゅつゆうにつきこれより中には入るべからず。東北ちょう
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ちょうの検断所のおとなりですよ。六波羅牢といいましてね、あれなら先生、何年でもいられるし、おしずかでいいでしょう」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、もうそこは、五条の平家のちょうに近くもあったし、いつのまにか、辻々からついてきた甲冑かっちゅうの兵が、道の前後を取り巻いているのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折ふし、ちょうの知事室では、知事の時文彬じぶんぴんが他念なく時務の書類に目を通していた。——宋江は、静かに扉を訪れて
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、貴様たちが、手を下したのも、同様だ。恨みは、こんどのことばかりではない、ただすはらでも、あの後で、野火のことを、六波羅のちょうに、訴えたろう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平家のちょうの威光をかさに着て、いかにも、小生意気こなまいきらしい町隠密の少年は、鞭で、大地をたたきながら
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
導かれたところは、ちょうではなく曹操の第宅につづく南苑の閣だった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一番、二番の白洲から獄棟ごくとうすべて、まさに閻魔えんまちょうだった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれも、ちょう与力よりき、つまり捕手頭とりてがしらである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)