“幾条”のいろいろな読み方と例文
旧字:幾條
読み方割合
いくすじ77.1%
いくすぢ20.0%
いくじょう2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
白きは空を見よがしに貫ぬく。白きものの一段を尽くせば、むらさきひだあいの襞とをななめに畳んで、白きを不規則なる幾条いくすじに裂いて行く。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
道の右は山を𠠇りて長壁と成し、石幽いしゆう蘚碧こけあをうして、幾条いくすぢとも白糸を乱し懸けたる細瀑小瀑ほそたきこたき珊々さんさんとしてそそげるは、嶺上れいじようの松の調しらべも、さだめてこのよりやと見捨て難し。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
茫々ぼうぼうたる薄墨色うすずみいろの世界を、幾条いくじょう銀箭ぎんせんななめに走るなかを、ひたぶるに濡れて行くわれを、われならぬ人の姿と思えば、詩にもなる、句にもまれる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)