岩陰いわかげ)” の例文
うん、うえほうには、くらげが、かさのようなかたちをして、およいでいるし、すこしした岩陰いわかげには、たこが腕組うでぐみをして、かんがんでいるしな。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし默然もくねんとして、なほ其處そこ見詰みつめてると、暫時しばらくしてその不思議ふしぎなる岩陰いわかげから、昨日きのふ一昨日おとゝひいた、てつひゞきおこつてた。
湖畔の岩陰いわかげや、近くの森のもみの木の下や、あるいは、山羊やぎの皮をぶら下げたシャクの家の戸口の所などで、彼等はシャクを半円にとり囲んですわりながら、彼の話を楽しんだ。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
もう弓を引く力もなくなった。水くぐる海士あまのすべも知らない。(ふと岩陰いわかげを見る)見つけたぞ! (岩陰いわかげに飛びゆき)待て。かにめ。(あわてとらえんとす)えゝ逃げおったわい。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
俊寛人の気配けはい岩陰いわかげかくれる。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)