宵啼よいなき)” の例文
名を蔵人くらんど蔵人といって、酒屋の御用の胸板を仰反のけぞらせ、豆腐屋の遁腰にげごしおびやかしたのが、焼ける前から宵啼よいなきといういまわしいことをした。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なお人一人、それがためにと申立てるが、鶏の宵啼よいなきで気が違うほどの者は、犬が吠えると気絶をしよう、理非を論ずる次第でない。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ええ、牝鶏があしたなら構いませんが、こうやってつむりを集めているのは、柳屋の雄鶏おんどり宵啼よいなきをするからでございますぜ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けだし小金もたまって、家だけは我物にしたというから、人一倍、むしろ十倍、宵啼よいなき神経こころを悩まして、六日七日も寝られず、取り詰めたはてが逆上をしたに違いはないので。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)