安臥あんが)” の例文
ベッドの上に安臥あんがさせられた婦人は、一時間ばかりしてぱっちりと目をさました。かの女はふしぎそうにあたりを見まわした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
一日一杯寝椅子ねいす安臥あんがしている病院生活の間中、寝てもめてもただうつらうつらと、日となく夜となく頭の中で私にほほえみかけてくるものは
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
津田ははっきりした返事も与えずにへやの中に這入はいった。そこには彼の予期通り、白いシーツにつつまれた蒲団ふとんが、彼の安臥あんがを待つべく長々と延べてあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三人の男共を指揮して、数時間豪雨の音も忘れるまで活動した結果、牛舎には床上ゆかうえ更に五寸の仮床かりゆかを造り得た。かくて二十頭の牛は水上五寸の架床かしょう上に争うて安臥あんがするのであった。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ふと、堂上を見れば、几席きせきのうえにのびのびと安臥あんがしている一箇の人がある。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも苦痛が全く取れて、安臥あんがの地位を平静に保っていた余には、充分それだけの余裕があったのであろう。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物慣れた看護婦が注射をして、病人を安臥あんがさせる。これではもう、話も何もあったものではない。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
一同はそれにしたがってもとの路へ帰り、ドノバンのたんかをになって洞へ帰ると、残りの少年たちはホーベスを洞へ入れて、ドノバンと同じく床の上に安臥あんがせしめた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「今は、追うも益はない。かず長安に帰って、予も久々で安臥あんがしよう」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父は医者から安臥あんがを命ぜられて以来、両便とも寝たままひとの手で始末してもらっていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
周瑜しゅうゆは営中の一房に安臥あんがしても、昏々こんこんとうめき苦しんでいる。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
医者は絶対に安臥あんがを命じた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)