孔雀石くじゃくせき)” の例文
本とうはどんなものでもわらないものはないのです。ごらんなさい。こうのそらはまっさおでしょう。まるでいい孔雀石くじゃくせきのようです。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
何事の起ったのかと種彦はふと心付けばわがたたずむ地の上は一面に踏砕ふみくだかれた水晶瑪瑙めのう琥珀こはく鶏血けいけつ孔雀石くじゃくせき珊瑚さんご鼈甲べっこうぎやまんびいどろなぞの破片かけらうずつくされている。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
緑玉りょくぎょく、碧玉、孔雀石くじゃくせきの片がほろ/\とこぼれて、其数約二十余、葉末の露にも深さ一分の水盤の水にもうつって、光ったり、消えたり、うれしそうに明滅めいめつして、飛び立とうともしない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そうして瑪瑙めのうった透明なうさぎだの、紫水晶むらさきずいしょうでできた角形かくがたの印材だの、翡翠ひすい根懸ねがけだの孔雀石くじゃくせき緒締おじめだのの、金の指輪やリンクスと共に、美くしく並んでいる宝石商の硝子窓ガラスまどのぞいた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)