“委(お)” の例文
只看(み)る、宮は行き行きて生茂(おひしげ)る柳の暗きに分入りたる、入水(じゆすい)の覚悟に極(きはま)れりと、貫一は必死の声を搾(しぼ)りて連(しきり)に呼べば、咳入(せきい)り咳入り数口(すうこう)の咯血(かつけつ)、斑爛(はんらん)として地に委(お)ちたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
取附く島もあらず思悩(おもひなや)める宮を委(お)きて、貫一は早くも独り座を起たんとす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
されど久(ひさし)きに勝(た)へずやありけん、卒(にはか)に起たんとして、かの文殻の委(お)きたるを取上げ、庭の日陰に歩出(あゆみい)でて、一歩に一(ひと)たび裂き、二歩に二たび裂き、木間に入りては裂き、花壇を繞(めぐ)りては裂き
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)