大蜥蜴おおとかげ)” の例文
中村はため息をらしながら、爬虫類はちゅうるい標本室ひょうほんしつへ引返した。が、三重子はどこにも見えない。彼は何か気軽になり、目の前の大蜥蜴おおとかげに「失敬」をした。
早春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この竜頭太になろうて造り出されたものか、一八八三年版、ムラの『柬埔寨王国誌ル・ロヨーム・ジュ・カンボジュ』二に、昔仏阿難あなんを従え、一島に至り、トラクオト(両舌ある大蜥蜴おおとかげ)の棲める大樹下に
錦蛇にしきへびには違いないが、小さな前肢まえあしが生えていて、大蜥蜴おおとかげのようでもある。しかし、腹部は八戒自身に似てブヨブヨふくれており、短い前肢で二、三歩うと、なんとも言えない無恰好ぶかっこうさであった。
彼等の顔のハッキリしないのも道理どうりです。まったくは、顔というものが無いのです。頭のない生物です。頭のない生物が、まるで檻の中にひしめきあう大蜥蜴おおとかげむれのように押し合いへし合いしているのです。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
我を見て舌を出したる大蜥蜴おおとかげ
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)