変事へんじ)” の例文
旧字:變事
甲二郎は、気が落ちつくのを待って立ち上ると、こんどはけ足でもって、山塞へとびこんだ。そしてこの変事へんじを知らせたのである。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
嵐の間におこり、嵐とともに去った変事へんじを聞き終って、弦之丞は驚きのあまり、しばらく愕然がくぜんとしていたが、やがて口のうちからただ一語。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
変事へんじの知らせがあったのは夜の九時半でしたが、かけつけて奥さんのみや子さんに聞いてみると、そのとき、女中は母親が病気で午後から千住の自宅へ出かけてまだ帰らず
妻に失恋した男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こんなことは、平常ふだんおおくあることでありません。汽車きしゃとおっていれば、汽車きしゃ運搬うんぱんされるのです。こうした、変事へんじがあったときは、みんながたすったり、ほねをおらなければならないのであります。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
猶も目科が喋々くしゃ/\説立ときたてて漸くの事に「しからば」との変事へんじを得
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
変事へんじ出来しゅったい
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、途端とたんにガチャーンといって硝子ガラスれるようなすさまじい音がして、これにはクラブハウスの誰もがハッキリと変事へんじに気がついたのだった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「——とりでの内部に異端者いたんしゃがあらわれましたので、本城ほんじょうにも変事へんじはないかどうか、あんじてけつけてまいりました。はやくおけください」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わが艇員は、貴様のような無法者をそのままにしておかないだろう。無電監視所が変事へんじをききつけて、いまに救援隊がかけつけて来る」
太平洋魔城 (新字新仮名) / 海野十三(著)
咲耶子は夜来やらい変事へんじをつぶさに話して、いまに、この谷へも、大久保長安おおくぼながやす手勢てぜいがきて、小太郎山のとりでどうよう、ぞんぶんに蹂躪じゅうりんするであろうとつげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すわ変事へんじと、旗本はたもとや、役人たちは、得物えものをとってきてみると、外廓そとぐるわの白壁がおちたところから、いきおいよくふきだしている怪火! すでに、矢倉やぐらへまでもえうつろうとしているありさまだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
電気看板がビクリとまたたく——気味がわるいじゃないか。僕は、はっきり言う。あの電気看板には神経があって、人間の殺されるのが判っていたのだ。そして僕にその変事へんじを知らせたのに違いないんだ。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)