“嘔吐”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おうと59.3%
へど18.6%
おうど5.1%
もど3.4%
3.4%
はきけ2.5%
たぐ1.7%
はい1.7%
はく1.7%
はき0.8%
はきだ0.8%
むかつ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
帝は、はしをお取りにならない。侍臣たちは、いて口へ入れてみたが、みな嘔吐おうとをこらえながら、ただ、涙をうかべあうだけだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どす黒い、どろどろした、おまけに嘔吐へどを吐いてもまだたまらないやうな悪臭を発散してゐるのだ。これが人間の死だと言へるだらうか。
鬼神 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
此頃よりせふ容体ようだい尋常たゞならず、日を経るに従ひ胸悪くしきりに嘔吐おうどを催しければ、さてはと心にさとる所あり、出京後しゆつきやうご重井おもゐ打明うちあけて、郷里なる両親にはからんとせしに彼は許さず
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
二本の指を口へいれて、苦しそうに酒を嘔吐もどしている。いつも、顔へ顔が映ると笑われている彼の頬も、艶気つやけがなく、真っさおであった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お腹が弱くて、こんなに嘔吐かれるもんぢやない。御覧なさい、あんな遠くまで食物たべものを吐き飛ばしてるぢやありませんか。」
食べ物の工合も変って来たし、飯を食べると、後から嘔吐はきけを催すことも間々あった。母親にただしてみると、母親もどちらとも決しかねて、首をかしげていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あぶらなす、逆吐ゑづき、嘔吐たぐ
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「それが、……赤斑あかふもあれば、死顔は痴呆こけのよう。下痢くだしたものは、米磨汁とぎじるのようで、嘔吐はいたものは茶色をしております。どう見たって、虎列剌に違いねえので……」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そうして若し、嘔吐はくか何かして目的を達しないでも、私自身がそれだけ呑んでおり、その時も呑んで見せるのですから、彼女に些かなりとも疑をおこされる憂はないわけです。
悪魔の弟子 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
加十は嘔吐はきたいような気持で恍惚と坐っていると、今度はボーイらしい青二才が入って来て一通の電報を差出して引退って行った。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
さじ加減や見立違ひで人を殺しておいて詫言わびごと一つ言つた事のない医者にとつて、謝りに来るのは、魂を嘔吐はきだすよりも苦しかつたに相違ない。
匂いの高いものは鼻に附くようになると嘔吐むかつくほどイヤになるもんで、美妙斎の文章の新味も余り香気が高過ぎたので一時は盛んに管待もてはやされたが
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)