呉服店ごふくてん)” の例文
唐物屋とうぶつやだの呉服店ごふくてんなどに、どんなにきれいなものがかざってあっても、今の清造にはなんの興味きょうみもありません。金物屋かなものや桶屋おけやはそれ以上に用のないものでした。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
他にも二人の客がそのうしろからおりて来たが、物の影の走るように彼の傍を通り抜けて電車の前を横切り、大塚早稲田方面の電車の停まる呉服店ごふくてんかどの方へ走って往った。
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
きた人形にんぎょうが、店飾みせかざりになったといううわさが四ほうひろまりますと、まち人々ひとびとは、みんな、一それをようとまえへやってきたので、この呉服店ごふくてんまえは、いつもにぎやかでありました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
北国寄りのF——町の表通りに、さまで大きくはないがしっかりした呉服店ごふくてん老舗しにせがあった。おらんというむすめがあった。四郎はこの娘が好きでF——町へ来ると、きっとこの呉服店へ立寄った。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ちょうど、そののことであります。青年せいねんが、呉服店ごふくてんへたずねてきました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
呉服店ごふくてん主人しゅじんというのは、気軽きがるなおもしろいひとでした。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)