向後きょうご)” の例文
主「ごまかして時々出掛けるね、併し今夜は小言を云いません、夜更よふけの事だから、向後きょうごたしなみませんといけませんよ」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
引被ひっかぶって達引たてひきでも、もしした日には、荒いことに身顫みぶるいをする姐さんに申訳のない仕誼しぎだと、向後きょうご謹みます、相替らず酔ったための怪我にして、ひたすら恐入るばかり。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただこの神経衰弱と狂気とは否応いやおうなく余をつて創作の方面に向はしむるが故に、向後きょうごこの『文学論』の如き学理的閑文字かんもんじろうするの余裕を与へざるに至るやも計りがたし。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また現在目の前にちらついておりますような、妙な心持でござりまして、いや、もう、この大地震は忘れましても、道具の、出たり引込ひっこんだり一件は、向後きょうごいくつになりましても
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昨夜ゆうべ兄貴の処へあなたがおいでで、明日あした竹ヶ崎の南山へくが、一人でも子分や縁者の者をよこすな、よこすと向後きょうご足踏あしぶみはしない絶交だ、と斯う旦那が仰しゃって、兄貴も心配して