同朋町どうぼうちやう)” の例文
二人は肩を並べるやうに、中坂を同朋町どうぼうちやうの方へ降りたのですが、妙に話の繼穗つぎほを失つて、暫らくは默りこくつて居たのでした。
手荷物てにもつにしてのみゆかしき妻戀坂下つまこひざかした同朋町どうぼうちやうといふところ親子おやこ三人みたり雨露あめつゆしのぐばかりのいへりてからひざをばれたりけり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ガラツ八は獲物を嗅ぎ出した獵犬れふけんのやうに、平次を案内して同朋町どうぼうちやうへ向ひました。
ありましたれど赤子あかごせるものがないとかきませば平常つねこゝろ承知しようちがならずとほして針仕事はりしごとるものふたつかはしましたと得意顏とくいがほ物語ものがたとくかげなるこそよけれとかきゝしがあやしのことよとうたがむね相談さうだんせばやのこゝろえぬ花子はなこさま/″\の患者くわんじやはなし昨日きのふ往診みまひ同朋町どうぼうちやうとやらしやとけばつゆたがはぬ樣子やうすなりそれほどまでには
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「親分さん——とゝさんの出入りの御屋敷でお目見得以上といふと、三軒しかありません。一軒は金助町の園山若狹わかさ樣、一軒は御徒おかち町の吉田一學樣、あとの一軒は同朋町どうぼうちやうの篠塚三郎右衞門樣」