古樹ふるき)” の例文
陽氣やうき加減かげんか、よひまどひをして、町内ちやうない大銀杏おほいてふ、ポプラの古樹ふるきなどでことがあると、ふくろだよ、あゝ可恐こはい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて、とろ/\の目許めもとを、横合よこあひから萌黄もえぎいろが、蒼空あをぞらそれよりく、ちらりとさへぎつたのがある。けだ古樹ふるき額形がくがた看板かんばんきざんだ文字もじいろで、みせのぞくと煮山椒にざんせうる、これも土地とち名物めいぶつである。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まずし、と早速訪ねて参りましたが、町はずれの侍町、小流こながれがあって板塀続きの、邸ごとに、むかし植えた紅梅が沢山あります。まだその古樹ふるきがちらほら残って、真盛まっさかりの、朧月夜おぼろづきよの事でした。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)