参謀さんぼう)” の例文
少佐は其の人達を僕に紹介して呉れましたが、一人は参謀さんぼうの川沼大尉、他の一人の阿佐谷あさがや中尉と二人の兵士は通信係の人達でした。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
この花田、石川、田村の三少年は、小学生のころから、少年探偵団にはいって、いまでは小林団長の参謀さんぼうというような、重い役目をつとめています。
虎の牙 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
陸軍省・陸相官邸かんてい参謀さんぼう本部などはもとより、警視庁もすでにその占領下せんりょうかにあり、各所に立てられた旗じるしには、「尊王討姦そうんのうとうかん」の四文字が書かれている。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そう三方面から日々ここへあつまって来る文書、報告などもおびただしい。もちろん参謀さんぼう祐筆ゆうひつなどの部屋を通って一応は整理され、緊要なものだけが信長の眼に供された。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また二里ばかり大蛇おろちうねるような坂を、山懐やまぶところ突当つきあたって岩角を曲って、木の根をめぐって参ったがここのことで余りの道じゃったから、参謀さんぼう本部の絵図面を開いて見ました。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
という手紙てがみをそえて、官軍かんぐん参謀さんぼう黒田清隆くろだきよたかにおくったのでした。諭吉ゆきちは、そのノートだとわかりましたので、これをうまくつかって、武揚たけあきをたすけようとおもいついたのです。
参謀さんぼう本部編纂へんさんの地図をまた繰開くりひらいて見るでもなかろう、と思ったけれども、余りの道じゃから、手をさわるさえ暑くるしい、旅の法衣ころもそでをかかげて、表紙をけた折本になってるのを引張ひっぱり出した。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)