“印(お)” の例文
……浪がうっすりと裾を慕って、渚の砂が千鳥にあしあとを印(お)して行く。ゆく手に磯に引揚げた船があった。ちょうどその胴のあたりへ二人が立った。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この童は聖母の愛でさせ給ふものなれば、それに戸をば開かせ給ひしなり。おん身はまだ此童を識り給はず。物讀むことには長(た)けたれば、書きたるをも、印(お)したるをも、え讀まずといふことなし。
彼処(かしこ)へ五本、此処(ここ)へ六本、流寄(ながれよ)った形が判で印(お)した如く、皆三方から三ツに固(かたま)って、水を三角形に区切った、あたりは広く、一面に早苗田(さなえだ)のようである。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
數限(かずかぎり)もない材木(ざいもく)を水(みづ)のまゝに浸(ひた)してあるが、彼處(かしこ)へ五本(ほん)、此處(こゝ)へ六本(ぽん)、流寄(ながれよ)つた形(かたち)が判(はん)で印(お)した如(ごと)く、皆(みな)三方(さんぱう)から三(みつ)ツに固(かたま)つて、水(みづ)を三角形(さんかくけい)に區切(くぎ)つた、あたりは廣(ひろ)く、一面(いちめん)に早苗田(さなへだ)のやうである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)