匍匐はらばい)” の例文
入違いに二人の男、どかどかと上込あがりこみ、いきなり一人が匍匐はらばいになれば、一人はあごを膝に載せてすねを抱え、「ねえ、おい素敵に草臥くたびれたな。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隠士も市の大路に匍匐はらばいならびをろがみまつる雲の上人
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
うしろに置いた腰掛台の上に、一人は匍匐はらばいになって、ひじを張って長々と伸び、一人は横ざまに手枕てまくらして股引ももひき穿いた脚をかがめて、天窓あたまをくッつけ合って大工が寝そべって居る。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世をはばかる監視中の顔をあてて、匍匐はらばいになって見ていた、窃盗せっとう、万引、詐偽さぎもその時二十はたちまでにすうを知らず、ちょうど先月までくらい込んでいた、巣鴨が十たび目だというすごい女
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不用意にして採集して来たことに思い及ぶと同時に、名は知るまいといって誇ったのを、にわかに恥じて、差翳さしかざした高慢な虫眼鏡を引込めながら、行儀悪くほとんど匍匐はらばいになって
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
突然いきなり匍匐はらばいになりて頬杖ほおづえつき、貞子の顔を上眼にじろじろ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)