刺衝ししょう)” の例文
その学者は決して懶惰らんだ無為むい日月じつげつを消する者に非ず、生来の習慣、あたかも自身の熱心に刺衝ししょうせられて、勉強せざるをえず。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
平生これを忘れんと欲するも忘るるあたわず。つねに吾人を刺衝ししょうして寸時もとどまらず。しかして吾人は今日に至りて黙せんと欲するも黙するあたわざるを感ず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
開国以来大に教育の風を改めて人心の変化したるは外国交際の刺衝ししょうに原因して、その迅速なること古今世界に無比と称するものなれども、なおかつ三十の星霜を費し
政事と教育と分離すべし (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たとえば人身のごとし。これを健康に保たんとするには、飲食なかるべからず、大気、光線なかるべからず、寒熱、痛痒つうよう、外より刺衝ししょうして内よりこれに応じ、もって一身の働きを調和するなり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
日夜精神を学問にゆだねて、その状あたかも荊棘けいきょくの上にして刺衝ししょうに堪ゆべからざるのはずなるに、その人の私につきてこれを見ればけっして然らず、眼に経済書を見て一家の産を営むを知らず
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)