切銘きりめい)” の例文
「さすがは重喜しげよし、油断なく自分の姿をもう見つけたか? ……」と、弦之丞も先の用意の周密なのに驚いて、矢柄やがらを見ると切銘きりめいにいわく
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又、彼の刀の切銘きりめいは、従来、「信濃国正行」とか「山浦内蔵助」とか又ただ「環」とか、その時々で切っていたが、やがて四谷に住んでから
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一すじのにしても、羽は鷹の石打、塗りは誰、やじりは誰が作と、切銘きりめいしてその優美を誇るに足るものだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というなあ、無銘の方の小柄こづかには、弦之丞のしるしと聞いた三日月紋の切銘きりめいがあり、もう一腰の新藤五の古いさやには、甲賀世阿弥よあみという細字さいじ沈金彫ちんきんぼりに埋めこんでありました。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、彼の死後に現われた刀の切銘きりめいには、「長州萩城ニ於テ作ル」としたものや「村田清風先生ノ為ニ鍛ツ」と切った作刀がかなり見られるので、長州に潜伏せんぷくしていた事は、想像に難くない。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一本には、「野分のわけ」と切銘きりめいがあって、下に小さく佐渡平と誌してある。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『そうか。して刀の切銘きりめいは』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という切銘きりめいが読まれた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)