ソレ)” の例文
ほか/\した日よりなのに、ソレを見てゐると、どこか、薄ら寒く感じるほどである。時々に過ぎる雲のカゲりもなく、晴れきつた空だ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
沮授は、黙然と外へ出て、「——ユウタル黄河、吾レソレヲ渡ラン」と、長嘆していた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とあるのゝ判詞に、「右は、その意したゝかにいひすゑられて、あまりこちたきまでにぞ聞きなされ侍る」云々、とある類が、ソレである。
和歌批判の範疇 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
おれは、このおれは、何処ドコに居るのだ。……それから、こゝは何処なのだ。ソレよりも第一、コノおれはダレなのだ。其をすつかり、おれは忘れた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ソレすら、其後ソノゴ、人の世になつても、氏貴い家々の娘ネヤの戸までも、忍びよると申しまする。世に言ふ「天若アメワカみこ」と言ふのが、其でおざります。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)