公事師くじし)” の例文
丸屋六兵衛のしたことは、その頃の社会通念から言えば、いちいちもっともで、公事師くじしが束でかかっても、批弁の持込みようはありません。
亀の子草履に剥げっちょろの革の煙草入を腰にさげているところなどは、どう見ても田舎の公事師くじし
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
せば猾智かつち狡才かうさい賄賂を取るにあらねば其の周旋人をおだてる公事師くじしとならずば小股をすくふ才取さいとり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
遣はされて下されすれば御前の方は十分ならんと申に久兵衞コレ馬鹿ばかな事を云なさるな御前親類書しんるゐがきにも八五郎殿のほかに弟はなき筈なりよし分つたり是は定めて出入師とか公事師くじしとか云ふ者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「——また、新田の小作料は十年間無料というのも、口約束だから証拠はない、わしはいろいろな人に相談し、しまいには公事師くじしにも金を使ってみたが、どうしようもないということがわかった」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「あの人は公事師くじしといって、訴訟がすきで——三百代言さんびゃくだいげん……」
「高利の金は貸す。町内中の揉めごとに口を容れて、公事師くじしの眞似をして金を取る。人のアラや弱味は一つも見のがさないし、泥棒よりひどいことをして金を貯めたさうですよ」
くれた女に離縁状は勿論もちろん持參金ぢさんきんなどは少しも返す事成ずいざ公事師くじしにても何でも連て來るべし此方よりこそ願ひ出べきと思ふ處なり此久兵衞が相手になれば奉行所へ出樣が公方樣くばうさまの御前であらうが立派りつぱ言開いひひらきて見せるサア/\いづれとも勝手にせられよと大聲にのゝしりければ佐兵衞八五郎の兩人は心中に此處こゝへ後藤先生を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)