“便所”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はばかり50.0%
べんじよ17.4%
べんじょ8.7%
はゞかり4.3%
ちょうずば4.3%
ようば4.3%
かわや2.2%
せっちん2.2%
せんち2.2%
ちょうず2.2%
びんしよ2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
母親は、うす暗い廊下を、自分の草履の音にせき立てられて便所はばかりに行ったが、月の光が彼女の心をかきむしるやうに、窓の外にさえて居た。
青白き夢 (新字旧仮名) / 素木しづ(著)
病症びやうしやう脊髓腦膜炎せきずゐなうまくえんとかいふ劇症げきしやうで、二三にち風邪かぜ氣味きみてゐたが、便所べんじよつたかへりに、あらはうとして、柄杓ひしやくつたまゝ卒倒そつたうしたなり
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
両足りょうあしをかわりばんこにあげているのは、かにさされないためでもありますが、便所べんじょにいきたいのをがまんしているためでもありました。
可笑をかしい時に笑はなけれあ、腹が減つた時便所はゞかりへ行くんですかつて、僕は後で冷評ひやかしてやつた。………………尤も、なんだね、宗教家だけは少し違ふ樣だ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
番頭「それはね、彼処あすこの魚屋の裏へ這入ると、一番奥のうちで、前に掃溜はきだめ便所ちょうずばが並んでますからじきに知れますよ」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうもられません、夜半よなかそっと起きて便所ようばへまいり、三尺のひらきを開けて手を洗いながら庭を見ると、生垣いけがきになっている外は片方かた/\は畠で片方は一杯の草原くさはら
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
便所かわやがあるのだが、夫人が寝たから、大廻りに玄関へ出て、鞠子のおさんの寝たすそを通って、板戸を開けて、台所だいどこの片隅のひらきから出て、小用をして、手を洗って、手拭てぬぐいを持つと
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いや、昨夜、遅く便所せっちんへ往きよって、ひっくりかえって鍋で額を怪我して、裏の木炭すみ納屋で寝ております」
鍛冶の母 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「貴様は低能ぢやい、脳味噌がないや、なんぼ便所せんちで勉強したかつて……」
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
「お便所ちょうず」と、小万も起とうとする。「なアに」と、平田は急いで次の間へ行ッた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「一、前年蠣崎将監かきざきしやうげん殿へ遣候書状御頼申候。其後は便所びんしよも出来候事に御座候哉。又々書状遣度候へ共、よき便所を得不申候。犬塚翁などへ、通路も御座候や御聞合可被下候。是亦奉願上候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)