今後これから)” の例文
前歯はこれまで幾度か嘘をいた歯ではあつたが、その歯が一本無くなつたからといつて今後これから嘘をくのに別段差支へる訳でもなかつた。
「だからよう。今迄のことは昔から詫び通しぢやないか。だから今後これからが大切なんぢやないかと言ふのに。これからなんだよう、大切なのは……」
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
おらァ全くがっかりしちまった。コウ兄か伯父おじ見たいで、何と云いや来ちゃ相談したもンだからな。今後これから何処へ往って相談したらいゝんだか——勘さん、おめえの所へでも往くだね」としまの夏羽織を
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今後これからは決して他の男と関係もしないし、今までの生活をさらりと止めて正業に立ちかえって、真面目な女になろう——そして、彼を一生の想い出として生きよう——それは、情夫おとこ捕縛あげられた日に
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
『ハア。』とまた低い声。『で今後これからは?』
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「どうせ今後これから伯父さんの厄介にならなきやならないとすれば、一度は会はなきやならないんだからね、ね——」
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
もしか今後これから下級吏員の女房を呼ぶのに「かみさん」と言ふ事にめれば、手内職もだれはゞからず出来ようといふもので、従つて市吏員の生活も屹度楽になるといふのだ。
『で、今後これからは?』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「今日はこれでお帰りが願ひ度い。そして今後これからは私の事は一切お忘れになるやうに。」
今後これからは誰一人間違つた事をだてして呉れるものも無くなるだらう