五十鈴川いすずがわ)” の例文
そこから五、六町ほど離れている五十鈴川いすずがわの岩のほとりに、一人の裸形らぎょうの男が、氷を割って、ざぶざぶと水を浴びていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後に天照大神は伊勢の五十鈴川いすずがわかみに伊勢皇大神宮として鎮座ましまし、倭大国魂神やまとのおおくにみたまのかみは、官幣大社大和おおやまと神社として、今も大和に鎮座になっております。
淙々そうそう千万年の流れをうたう五十鈴川いすずがわの水音に、心を洗った若い日の泰軒先生は、根が無邪気な人ですから、日本を思い、おそれ多いことですが皇室をしのびまつって
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大神宮様が大和の国笠縫かさぬいの里からこの伊勢の国五十鈴川いすずがわのほとりへおうつりになった時、そのお馬について来た「はえ」が今の拝田村の中の一部落の先祖だということであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
荒いがこの風、五十鈴川いすずがわかぎられて、宇治橋の向うまでは吹くまいが、相の山の長坂を下からどっと吹上げる……これが悪く生温なまぬるくって、あかりの前じゃ砂が黄色い。月は雲の底にどんよりしている。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが、五十鈴川いすずがわの流れを越え、内宮へ、一歩入ると、何か人心地がまるで変っていた。草を見ても樹を見ても、ここには神のけはいを感じるのであった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
橋のたもとには、女房達が、ずらりと大地に並びまして、一文二文に両換りょうがえをいたします。さあ、この橋が宇治橋と申しまして、内宮様ないぐうさまへ入口でござりまする。川は御存じの五十鈴川いすずがわ、山は神路山かみじやま
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)