也有やゆう)” の例文
その後紅葉の家で計らず落合った時、この女のような顔の持主が也有やゆうの再来かと疑われる名文章の作者だと聞いて喫驚してしまった。
既にその前年一度医者より病の不治なる事を告げられてからわたしは唯自分だけの心やりとして死ぬまでにどうかして小説は西鶴さいかく美文は也有やゆうに似たものを一
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
近世の口碑こうひにおいては筑紫つくしの人旅に死し、その霊化して蝉となってツクシコイシと啼くと、也有やゆうの「百虫賦ひゃくちゅうふ」にはあるそうな。その筑紫方面の聴き様もそれと近く、いずれも寒蝉を
 也有やゆうは狂文を以て名高し。故にその作句数千、十中の八、九は狂体もしくはしやれ滑稽に属するものなり。しかれどもこの句の如く諧謔かいぎゃくのはなはだしきものは他に多く類を見ず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
弁天のほこらの下、芭蕉、也有やゆうの碑のうしろ、そこを探しても先生らしいのはいない。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、也有やゆうの句の刻まれてある石碑のかげに、その時人影がうごいたようですが、それは問うまでもなく最前から、使いの吉左右きっそういかにと、ここに首を長くしていた釘勘で、近づく足音を聞くとすぐに
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏をむねと作ればいお野分のわきかな 也有やゆう
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
也有やゆうの句にこんなのがある。
怪奇一夕話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
の如き、正風といへども決して滑稽諧謔を排斥したるにあらざるを知るに足る。也有やゆうが芭蕉翁画像の賛にも
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蛙が柳に飛びつかうとして誤つて落ちた処を画いた画に、也有やゆう
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
誰だっけな、芭蕉でなし、鬼貫おにつらでなし、也有やゆうでもなし……
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一、 朝顔やこんに染めても強からず 也有やゆう
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)