両替りょうがえ)” の例文
旧字:兩替
しかし、幕末まえ頃まで判っていたその二軒も、何か他の職業と変ったとやらで、堺屋は諸国雑貨販売と為替かわせ両替りょうがえを職としていた。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
両替りょうがえ両替りょうがえ小判こばん両替りょうがえ。」というこえは、かぜのまにまにとおくになったり、ちかくになったりしてこえてきたのであります。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「え——長浜というところへ両替りょうがえに行って下さい、友さんはただ、用心について行ってくれさえすればいい、万事はこの人たちに頼んであるから」
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その東京の街路の雑沓ざっとう、「大吉だいきち」だの、両替りょうがえだの、薬玉くすりだまだのの看板が、軒ごとに並んでいた下町の姿は、単に懐古的な意味でなつかしいというだけではない。
日本のこころ (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「あすこでござんすよ。あの筆屋ふでやまえから両替りょうがえ看板かんばんしたとおってゆく、あの頭巾ずきんをかぶった後姿うしろすがた。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そして、十五夜の晩以来、お雪の家の中に隠されていた疵口きずぐちのないこの町人体ちょうにんていの男の死体は、本石町ほんごくちょう金座用達きんざようたしをしている両替りょうがえ佐渡屋和平さどやわへい、俗に佐渡平という商人にちがいないと申し立てた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「すばらしいことになりましたなあ。おまえさんは、なんてしあわせものなんだろう。わたしが両替りょうがえして、小銭こぜににかえてあげましょう。ターレルのような大きな金じゃ、しようがないでしょうから。」
両替りょうがえ両替りょうがえ小判こばん両替りょうがえ。」といいながら、こっちにあるいてきました。やがて、幸作こうさくうち戸口とぐちで、げたについたゆきをはらうちいさな足音あしおとがしました。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「その五百は、もうおらのもんではござりません。二百は番兵ばんぺいにくれてやりました。あとの三百は、ユダヤ人が両替りょうがえしてくれましただ。法律ほうりつのうえからいや、おらのものは一文いちもんもねえでござります。」
両替りょうがえ両替りょうがえ小判こばん両替りょうがえ。」と、んである子供こどもこえこえたのであります。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)