不申もうさず)” の例文
このところはことさらにも九字くらいにする必要有之これあり、もし七字句などをもって止めたらんには上の十字句に対して釣合つりあい取れ不申もうさず候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
守り相営み不申もうさず候然るに昨日仮葬之節追て日限御知せ可申上御約束之処前件の次第故不悪あしからず御承引可被下くださるべく候右御報道併せて御礼奉申上候也
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こう申せばそなたはお笑い被成候なされそうろうかは存じ不申もうさず候えども、手紙の着きし当日より一日も早くもとのようにお成り被成なされ候ように○○どこそこのお祖師さまへ茶断ちゃだちして願掛け致しおり候まま
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
横浜へは汽車不通にて参る事かなわず、電話は申込者多数にて一日を待たねば通じ不申もうさず……
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一寸ちょっと文呈上候。秋暑之処御安全慶賀之いたりに候。さて先般は御来車被下くだされかつ御土産に預り候所、足痛にて御目にかゝり不申もうさず、失礼致候。其後御書面にもあずかり候所、平臥へいがゆえ御無音申候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
久しき御病気も御本復被遊あそばされ私方の本懐も之れに過ぎ不申もうさず、健かなる御血色にて、御乗車御出発を御見送り申上候私共にとりても、些か御看護申上候甲斐ありと、御尊父様に対しても
仙人掌の花 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
おおせのごとく近来和歌は一向にふる不申もうさず候。正直に申し候えば『万葉』以来、実朝さねとも以来、一向に振い不申候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
是非共二三十羽の孔雀を捕獲致さざるべからずと存候ぞんじそろ。然る所孔雀は動物園、浅草花屋敷等には、ちらほら見受け候えども、普通の鳥屋などには一向いっこう見当り不申もうさず苦心くしん此事このことに御座そろ。……
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とはいえいかに区域を広くするとも非文学的思想は不申もうさず、非文学的思想とは理屈のことに有之これあり候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
おおせごとく近来和歌は一向に振ひ不申もうさず候。正直に申し候へば万葉以来実朝さねとも以来一向に振ひ不申候。実朝といふ人は三十にも足らで、いざこれからといふ処にてあへなき最期を遂げられ誠に残念致し候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)