不格好ぶかっこう)” の例文
なぜならつくえかどは、小刀こがたなかなにかで、不格好ぶかっこうけずとされてまるくされ、そして、かおには、縦横じゅうおうきずがついていたのであります。
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わしは宮の周囲にはえた不格好ぶかっこう樹立こだちと、そしてちょろちょろと落ちる谷水を見ていると、何とも言えない欠乏の感じにうたれました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
あの龍のような不格好ぶかっこうな老樹が、もし滑々すべすべした肌をもっていたら、それはとても見られたものではないでしょう。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
見れば不格好ぶかっこうな短い羽をひろげて、舞揚まいあがろうとしてやがて、パッタリ落ちるように草の中へ引隠れるのでした。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「どうやら唖者おしになったらしい」またもや太郎丸憎々しく、「学者の唖者おしというものは、ふだんあんまり喋舌しゃべりすぎるためか、恐ろしく不格好ぶかっこうなものだなあ。学者学者、何んとかお云い!」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あななかから、あたまして、いっさいをりつくしたのねずみは、あひるが、不格好ぶかっこうなようすで、あわてるのをて、はじめはにくらしいやつだ、いいきみだというくらいにおもったのが
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)