下寺したでら)” の例文
其れに下寺したでらと云つて……今は通行路とおりに成つて居るが、彼所は三十六坊の寺の在つた所、又山王台と云ふ只今西郷さんの銅像の在る所は、山王の社があつて
下谷練塀小路 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
停車場及鉄道線路の敷地となった処には維新前には下寺したでらと呼ばれた寛永寺所属の末院が堂舎を連ねていた。
上野 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いまはひがし岩崎公園いはさきこうゑんもりのほかに、かげもないが、西にし兩寺りやうじ下寺したでらつゞきに、およはかばかりのである。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今はすで物故ぶっこしたそうですが、れは東本願寺の末寺まつじ光永寺こうえいじと申して、下寺したでらの三ヶ寺ももって居るず長崎では名のある大寺おおでら、そこの和尚が京にのぼって何か立身してかえって来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
甘泉堂かんせんどう(菓子屋)、五条の天神、今の達磨だるまは元岡村(料理店)それから山下は、今の上野停車場と、その隣りの山ノ手線停留場と、その脇の坂本へ行く道が、元は、下寺したでらの通用門で