一統いっとう)” の例文
次第によっては折助一統いっとうかおにかかわると思って博奕ばくち半ばで飛び出すと、かねて折助と懇意にしている遊び人連中がその加勢にと飛び出して、どっと女軽業の前へ押寄せて来ました。
たださへ狭くなつたところへ、こゝで又、奥行を一間二尺も切りちぢめられちやあ仕様しようがないが、それもまあ世間一統いっとうのことですから、わたしのうちばかりが苦情を云つても始まらないと
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
一方筑摩家に於いては、輝勝一人を除く外政高の死の真相を知っていた者はないのであるから、淡路守の胸中を疑う筈はなく、家中一統いっとうこゝろから今度の和睦と祝言とを喜んだに違いない。
一、およそ皇国に生れては、よろしく吾が宇内うだいに尊き所以ゆえんを知るべし。けだし皇朝は万世ばんせい一統いっとうにして、邦国の士夫は禄位を世襲し、人君は民を養い以て祖業をぎ、臣民は君に忠にして以て父志を継ぐ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「それはあの燕尾服えんびふくの男とその一統いっとうか、あるいは針目博士だ」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
満がこの村よりでて文学士というエライ者になりたるさえ村中一統いっとうほまれなるに我身そのエライ人と縁組せんこそこの上もなき誉れぞと玉の輿に乗る心持「伯父さん、満さんはいつ帰るとも言って来ねいのう」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ハイ一統いっとうからよろしくとのことで……
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)