一揃ひとそろ)” の例文
意匠を凝らせた贈り物などする場合でなかったから、故人の形見ということにして、唐衣からぎぬ一揃ひとそろえに、髪上げの用具のはいった箱を添えて贈った。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
叔母は空々そらぞらしく気の毒だとかすまないとかいい続けながら錠をおろした箪笥たんすを一々あけさせて、いろいろと勝手に好みをいった末に、りゅうとした一揃ひとそろえを借る事にして
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
楽焼らくやき煎茶せんちゃ道具一揃ひとそろひに、茶の湯用のうるし塗りのなつめや、竹の茶筅ちゃせんほこりかむつてゐた。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
「さっそくだが、おまえの衣裳を一揃ひとそろえ貸してくれ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)