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ほそうで
願ふと云ふも
忍び
泣殊に他人に有ながら當家へ
養子に來た日より
厚く
深切盡くして呉し支配人なる久八へ
鳥渡成とも
書置せんと
有あふ
硯引寄せて涙ながらに
摺流す
墨さへ
薄き
縁にしぞと
筆の
命毛短かくも
漸々認め
終りつゝ
封じる
粘より
法の
道心ながら
締直す帶の
博多の一本
獨鈷眞言成ねど
祕密の爲
細腕成ども我一心長庵如き何の其
岩を
「ふむ、それでそれからはずっと母の
細腕一本に育て上げられたというわけだね」